現地の人たちの生活を覗き見しながら、文化の違いを実感し、英国ならではのお土産をリーズナブルに入手できるスーパーマーケットは、デパートよりも旅行者の強い味方です。そしてスーパーでは季節商品のほかにも折に触れて新商品が続々登場! 注目すべきとっておき10選をご紹介します。
1. Tomas Fudge’s Marmite Biscuits
お煎餅みたいに食べたいマーマイト風味ビスケット

You love it or hate it(大好き、でなきゃ大嫌い)のキャッチフレーズでおなじみの酵母ペースト、マーマイトで味付けした薄〜いビスケット。1箱5袋入りで、各小袋にはマーマイト瓶の形をした可愛らしい4枚のビスケットが入っています。どこか醤油味のおせんべいを思わせる風味ですが、しっかりとしたオーツ・ビスケットがベースになっており、パリパリの歯ざわりでありながら、噛めば噛むほどオーツの甘みとマーマイトの苦味がほどよく混ざり合う、他にはない味わい深いビスケット。
マーマイト嫌いでも美味しくいただけること請け合い、甘いものが苦手なお友達へのお土産にもぴったりです。大勢に配りたいときは小袋を手渡しても喜ばれそう。チーズ&チャツネをのせても素晴らしい風味を堪能いただけるでしょう。ちなみに冒頭のキャッチフレーズは90年代にマーマイトの宣伝を担当した広告会社の2名によるアイデアなのだそうです。彼らのうち一人はLove marmite派、一人はHate marmite派だったとかで、どうしても方向性を絞れなかった二人の苦肉の最終選択。まさにマーマイトの本領がそこにあります。5袋入り2.30ポンド。主にWaitrose、Sainsbury’s での取り扱い。
リンク:https://www.burtonsbiscuits.com/our-brands/marmite/marmite-biscuits/
2. Yorkshire Tea Toast & Jam Brew
朝食にジャム・トースト風味の紅茶はいかが?

ヨークシャー地方を代表する紅茶とコーヒーの人気ブランド、Taylors of Harrogateによる新商品は驚きの「ジャム・トースト味の紅茶」で、2020年9月に発売されたばかり。新世代のスペシャル・ティーとして2016年にローンチされたシリーズの最新商品で、先行発売された「ビスケット味の紅茶」の衝撃から3年、またまた新しいフレーバーの発掘に乗り出しました。
Toast & Jam Brewは、カリカリになるまで焼いた英国式の薄いトーストの上にたっぷり塗ったストロベリー・ジャムの香りがテーマですが・・・確かに! しますね。そして冷めても美味しい。ミルクは必須。フレーバーの材料についてはパッケージに記載がないので企業秘密なのでしょう。自然素材でグルテン・フリーであることだけが明かされています。
テイラーズ・オブ・ハロゲイトは10年以上前からチャールズ皇太子から王室御用達を授かっている信頼のブランド。チャールズさんは食品の安全性、企業活動の持続可能性、地域社会への貢献などをしっかり見ているので品質は間違いありません。開発を担当したケイト・ハロランさんが各メディアに語ったところによると「朝食にピッタリのブレンドですよ。一日の始まりに春のような足取りの軽さをもたらします」とか。ジャム色のパッケージが目を引き、レトロなデザインもお土産向き。40袋入り2.30ポンド。主に Asda、Waitroseでの取り扱い。
リンク:https://www.yorkshiretea.co.uk/our-teas
3. Mackie’s Haggis & Cracked Black Pepper Chips
スコティッシュ・ハギス味の上質ポテトチップス

ポテトチップスのフレーバーでは数知れないバリエーションを持つイギリスでも、スコットランド名物のハギス味を作っているのはこのメーカーのみ。オレイン酸を多く含むヒマワリ油で、通常よりも厚めにカットしたポテトを焼き揚げしている上質のポテトチップス。20世紀前半からスコットランドで農業を営むテイラー家が、スコッチ・アイスクリーム・ブランドのマッキー家とタッグを組んでお届けする正真正銘のスコットランドの味です。
しっかりとした歯ごたえと、厚めにカットしたポテトの甘み、スコットランド風の内臓ソーセージとも言えるハギスのセイボリー風味をほのかに楽しめるでしょう。イギリス人に人気のケトル・チップスよりも油っこさは控えめだと感じるのも、オススメの理由。粗挽き黒コショウがハギスの臭みを和らげていると言われますが、臭みなんてほとんどなし。ハギスをいただくときのように、スコッチ・ウイスキーと合わせると格別かもしれません。日本ではごく限られた輸入代理店が取り扱っているようですが、こちらではWaitrose、Sainsbury’s など一般的なスーパーで取り扱い。
リンク:https://www.mackiescrisps.co.uk/our-crisps/haggis-black-pepper/
4. Frank Cooper’s Vintage Oxford Marmalade
ダークで渋い味わいが魅力、大人のマーマレード

オックスフォード生まれの食料品店Frank Cooper’sで1874年、クーパー氏の奥方がスペイン産のセヴィル・オレンジを使って独自レシピのマーマレードを作り、これが大評判に。そのレシピを引き継ぎ、150年に渡って愛され続けるオックスフォード・マーマレード。人気の秘密はいったい何でしょう? それは厚切りオレンジのほろ苦さ、控えめな甘さと少し後を引く適度な酸味、そして何よりも魅惑的なダークな色合い・・・ 讃える理由はたくさんありますが、今となっては愛好家たちにまつわるエピソードの方が有名かもしれません。
オックスフォードの学生たちには創業当初から人気で、何よりアリスの生みの親ルイス・キャロルの大好物だったとか。各国間で南極探検レースが加熱していたころは、スコット隊長率いる英国チームとともに南極到達を果たしました。また50年代にはジェームズ・ボンドが朝食で優雅に嗜んだとの記述も。そんな文化的なエピソードには事欠かないマーマレードは、バターをたっぷり塗ったトーストの上にのせてブラック・ティーとご一緒に、またはチャツネ代わりに熟成チェダー・チーズ&ビスケットに添えて一口いかが? ど〜んとひと回り大きな瓶、レトロなラベルはノスタルジーを誘い、ついついまた手が伸びてしまう不思議な魅力にあふれています。1913年にジョージ5世より初の王室御用達を拝受。現在もエリザベス2世のロイヤル・ワラント保持。454g 2.60ポンド。Sainsbury’s で取り扱い。
リンク:https://www.frankcoopers.co.uk/our-products/vintage-oxford-marmalade/
5. Walkers Scottie Dog Shortbread
デザイン刷新後もますますキュートなスコッッティドッグ

赤いタータンチェックでおなじみ、1898年創業のビスケットの老舗ウォーカーが、2012年に生み出したヒット商品、スコッチテリア型のキュートなショートブレッドはいつだってお土産に最適。分別のありそうな落ち着き顔のテリアがきっと、どんなティータイムも愉しく盛り上げてくれるに違いないのです。え? 日本でも簡単に入手できますって? それが実は昨年、タータンチェックの真っ赤なパッケージが一新され、クリーム色との組み合わせでより洗練されたデザインへと生まれ変わったのです! この新パッケージは英国内でも現時点ではWaitroseのみの取り扱い。これから時間をかけて他のスーパーに卸していくとのことなので、海外でお披露目されるのはいつのことか……(日本は意外と早いかもしれませんが 笑)。
1世紀以上経った今でも創業一族であるウォーカー氏によって運営される稀有なブランドでもあり、2002年にはエリザベス2世から王室御用達を授かっています。成功を続けている理由は、間違いなく品質。スコットランド産の最高級の天然素材のみを使用することで生まれるリッチな味わいは、素朴だからこそ歴史を感じずにはいられません。どんなにたくさん作っても、均一な品質を保つことに力を注いでいるそうです。女王の即位記念や王族の結婚式などのイベント時には期間限定コレクターズ・エディションも作られるので、そちらもお見逃しなく。
リンク:https://www.walkersshortbread.com
6. Toast Ale’s Session Ale
廃棄パンで作るビールが地球を救う

イギリス人はサンドイッチが大好き。オフィス・ランチでもまだまだサンドイッチ人気は健在。子供たちのディナーもときどきサンドイッチ……ともかく毎日サンドイッチは大量に工場で生産されるのですが、当然のことながら耳の部分は切って捨てられてしまうのです! 涙 その数、平均して1日1工場13000スライス……。この廃棄パンを原料にしたビール製造に取り組み、見事商業ベースにのせた立役者が、廃棄物問題のエキスパートであるトリストラム・スチュアートさん。Toastと名付けたブランドを2016年にロンドンで立ち上げると、すぐにそのユニークで意義ある取り組みに世界が注目しました。彼は英国で毎年廃棄される大量の余剰食品を救おうと、このアイデアを思いついたそうです。
英国内における「まだ食べられる食糧品」の廃棄量は年間10億トンで、パンはその廃棄食品の中でもトップを占めるアイテムの一つだとか。売り上げの一部を廃棄物問題に取り組むチャリティに寄付する仕組みであることも、購入の理由としては十分ですよね。ビールはいずれもモルトの甘味で飲みやすく、こちらのセッションIPAはフルーティかつコクがありオススメ(ペール・エールはイギリス人のお気に入り)。他社とのコラボレーションも積極的に進めており、昨年は英国の大手老舗パン・メーカーとの提携で廃棄直前クランペットを原料にしたエールが新たに誕生! 気になります。Session Ale 330ml 4.5% ABV 2ポンド。Waitrose、Coop 、Tescoなどで取り扱い。
7. Opies Pickled Walnuts
謎のロングセラー、クルミのピクルス

この真っ黒な食品は何でしょう? クルミのピクルスです! 緑色の外皮がついたままの若いクルミを収穫し、水分を含んでいるうちに丸ごとモルト・ビネガーに漬け込んだクルミのピクルスは、18世紀の初めにはすでにこの国で食べられていたと言います。まさに英国の珍味。残念ながら「クルミ・ピクルスの大ファン」というイギリス人を私は知らないのですが、1880年に北ロンドンで創業した「Opies 」というブランドのものを今でも簡単にスーパーで手に入れることができるので、常食している人は間違いなくいるのでしょう。田舎では今も季節になると自家製ピクルスを作ったりもするようです。
食べ方ですが、チーズに田舎パンを添えた英国風「農夫のランチ」やハムなどのお供にすると、チャツネ代わりとなって好相性。あるガストロパブで、ウスターソースを加えたチェダー・チーズをパンにのせてグリルするチーズ・トースト「ウェルシュ・レアビット」に添えられていたことがありますが、それは美味しゅうございました。細かく刻んでサラダ用ドレッシングに入れると、良きアクセントに。このオピーズのものは大量の砂糖を入れたモルト・ビネガーに漬けているので、クルミの味? がするかどうかは別として、薬味としてはとても優秀なようです。英国の珍味としておひとつ、お土産にいかが? 390g 3ポンド。Waitrose、Sainsbury’s、Tescoほか、たいていのスーパーで取り扱い。
リンク:https://www.opiesfoods.com/
8. Cupsmith Organic Breakfast Tea
パケ買いあり、日本未上陸のオーガニック・ティー

英国を訪れたなら、ぜひ紅茶をお土産に。庶民にこよなく愛されるPG Tipsのピラミッド型ティーバッグも良いですし、Tetleyの丸いティーバッグも個人的にはイチオシです。上でも取り上げたヨークシャー・ティーは上質を求めるイギリス人に人気のメーカー。しかしお土産となると……行ってみましょう「日本未上陸」ブランド。お土産にすると必ず喜ばれます! 最近見つけたブランドでお勧めがあります。それは南イングランドのサリーを拠点に最上級のお茶とコーヒーを志向している夫婦デュオが贈るブランド、Cupsmith。
彼らのオーガニック紅茶&コーヒーがWaitroseの棚に収まったのは、ほんの1年半前です。創業から4年目の快挙でした。Cupsmithは文字通りの家族ビジネスで、スーパーに卸すようになっても相変わらず現時点では袋詰めもご夫婦でされているそうですよ。独自レシピで作られる自慢のブレックファスト・ティーは、アッサムとルワンダのブレンド。こだわりのシルクのピラミッドに入っているのは大きめの茶葉で、熱湯を注いで3分待つと上品でマイルドな味わいを楽しめます(ティーバッグをずっと入れたままでも渋くならないそうです!)。そして注目はハウス型のラブリーなパッケージ。これは奥様のエマさんがイラストも含め昨年手がけたばかりの新デザインで、より環境に配慮した素材にするためだったとか。このハウスのドアを毎日開けるたびに、幸せな気持ちになりますようにと願いを込めて。35袋入り 7.50ポンド。Waitroseで取り扱い。
9. Pimm’s Strawberry Tangerine & Mint Preserve
夏のティータイムはピムス風味のジャムでスコーンを!?

英国の夏の風物詩であり、国民的さわやかカクテルでもあるピムスが4%も入ったフルーツ・ジャム! もちろんミントもほんの少し香らせます。2019年夏にスペシャル・エディションとしてローンチされたこの商品、ピムスに欠かせないオレンジ風味を加えるため、昔ながらのストロベリー・ジャムに酸味の強いタンジェリンを合わせることでスカッとした風味を演出。真のピムス・ファンたちの中には「ジンの香りが足りない」と不満を漏らした向きもあるようですが、懐かしいストロベリー・ジャムとマーマレードの組み合わせにイギリス人たちの文句が出ようはずもありません。
オススメの食べ方? 夏でもスコーンには熱いミルクティーを合わせたいのがイギリス人でしょうが、ここはぜひピムス・ジャム&クロテッド・クリームを重ねたスコーンに、冷たいピムスのカクテルを合わせてみていただきたいと思います。クロテッド・クリームが少し重いようであれば、このさいホイップ・クリームを試して軽さを極めてみても。英国らしさを求めるお友達への洒落たお土産としておすすめ。330g 2.49ポンド。Waitrose、Sainsbury’s、Asdaなどで取り扱い。
10. Seasonal baking goods
イベントのたび登場する季節商品は狙い目です!

クリスマスはもちろん、バレンタインやイースター、ハロウィーンなど季節ごとに登場する限定商品はイギリス人も大注目ですし、お土産としても希少性があり狙い目です。スーパーとして最も新商品を開発しやすいのがチョコレート部門ですが、それは他の人へのお土産にしておいて、自分用のお宝は日持ちのしないパン・コーナーに探しに行きましょう。まずクランペットは注目したいアイテムの一つ。バレンタインにはハート形のクランペットが出回りますし、クリスマスになるとツリーの形をしたクランペットも登場し、心を浮き立たせてくれます。
イースター時期の現在、マークス&スペンサーで見つけたのは伝統のドライフルーツたっぷりのホットクロス・バンズとは似ても似つかない、マーマイト&チーズ味のホットクロス・バンズでした! ハロウィーンの季節にはお菓子売り場がカボチャ色に一変するほど季節商品であふれますが、ベーカリーに足を向けると工夫を凝らした楽しいカップケーキを見つけられるはずです。大手お菓子メーカーからもその時期しか出回らない季節商品がローンチされることもあるので、そちらも要チェック。そして日本に戻った日の翌朝は持ち帰ったお気に入りのパンをお皿にのせ、紅茶と一緒に旅の余韻を楽しみましょう。
さて、今楽しめる英国みやげ10選、いかがだったでしょうか?
中心部のスーパーマーケットとしては、下記の場所があります。郊外の大型スーパーもかなり楽しめるので足を伸ばしてみられるのもおすすめです。
John Lewis, 300 Oxford Street, London W1A 1EX
The Brunswick, Bloomsbury, London WC1N 1AF
Sainsbury’s, Pimlico Super Store
99 Wilton Road, London SW1V 1DT
17-25 Regent Street, London SW1Y 4LR
458 Oxford Street, London W1C 1AP