魅惑のレストランをハシゴしよう!旬のロンドン・ラッキー7

by 江國まゆ
Thursday 06 May 2021

英国ではサマータイムになると、外に出たい気持ちが一気に盛り上がってきます。家にずっとこもっていると外ごはんも恋しくなりますよね。ロンドナーたちも春夏は戸外に繰り出してテラスやガーデンでの食事を楽しみ、季節の香りを謳歌します。今回はロンドンの外食産業をウォッチングし続け、これまで約1500軒のレストラン&カフェ・レビューを書いてきた筆者が、今行くべきレストランをご案内します。高い価格帯のレストランが美味しいのは当たり前。ここではもっとカジュアルで、味だけでなく雰囲気・価格・サービス・話題性など全体のバランスが取れたロンドナーに大人気のレストラン7軒に注目してみましょう。名付けて「旬のロンドン・ラッキー7」!

 

1. Eldr  エルダー

 

話題の新オープンは北欧文化のショーケース

Eldre 魅惑のレストランをハシゴしよう!旬のロンドン・ラッキー7

 

2020年のロンドンで、最も華々しいオープンと言えるのがナイツブリッジにできた大規模な商業施設「Pantechnic’on / パンテクニコン」でした。新古典主義の壮麗なビルには、地下から5階までテーマである<北欧 x 日本>のカルチャーがぎっしり。両者に共通するのはシンプルやミニマルといった言葉で表される研ぎ澄まされた洗練ですよね。1・2・3階にはライフスタイル・ショップとカフェ、4・5階に北欧レストラン、地下には日本居酒屋がありますが、オープンと同時に大きな話題になったのが、4階に構える Eldrです。ほの明るい照明が気持ちを落ち着かせてくれるスタイリッシュなレストランですが、ガラス張り天井とテラスのある5階でも、たっぷりとした光の中で同じメニューをいただけます。

elder 魅惑のレストランをハシゴしよう!旬のロンドン・ラッキー7

席に着くとまずオススメされるのは北欧テーマの食前酒。リンゴンベリーを使ったもの、海藻入りのマティーニ、北欧の蒸留酒アクアビットをベースにしたものなど、専属ミクソロジストが9種のオリジナル・カクテルを用意しています。食事はぜひ、フェンネルとハチミツが隠し味の滋味あふれる自家製パンからスタートしてください! 北欧らしいテーマが取り入れられたお料理では、例えばマッシュルームのソースでいただくビーツのサラダは驚きの味。マガダミア・ナッツが隠し味となったオリジナリティある一皿で、見事なハーモニーを奏でています。ビーフ・タルタルもフランスのものとは全く別物。食材のさっぱりとした味わいが際立ちます。世界中のトップ・レストランで経験を積んだエグゼクティブ・シェフの下、ミシュラン3つ星レベルのキッチンにいたシェフたちが、北欧の味をロンドン・スタイルに置き換えて提供してくれるEldrは、今後も大注目です。

 

住所:Pantechnicon, 19 Montcomb Street, London SW1X 8LB

営業日:毎日 12:00 – 22:00

https://www.pantechnicon.com

 

2.  Caractère  カラクテア
 

受け継がれるフレンチDNAが、外来種に出会う

Caractère 受け継がれるフレンチDNAが、外来種に出会う

 

フレンチの大御所、ミッシェル・ルー・ジュニアさんの娘さん夫婦がお届けするとっておきのレストランです。ルー一家と言えば英国ではとても尊敬されている高級フランス料理シェフの一族。一方、婿であるイタリア人ヘッドシェフのディエゴさんはシェフとしてのトレーニングの大半をフランスで積み、その後、ロンドンに渡ってミシェル・ルー・ジュニアさんの2つ星フラッグシップ・レストラン、ル・ガブローシュで3年に渡ってヘッドシェフを務めた叩き上げです。というわけでカラクテアでは期待通り、強いフレンチの影響がありながらも、シェフのルーツにも敬意を評したハイブリッド料理をたっぷりと味わえるのです。

Caractère 受け継がれるフレンチDNAが、外来種に出会う

昼、夜ともに現在はコース・メニューのみですが、ランチが39ポンド、ディナーが57ポンドと、クオリティを考えると本当にお得。シグニチャーの一つ、根菜のセロリアックをパスタ状にしていただくカチョエ・ぺぺ(ペコリーノと胡椒のパスタ)は、濃厚なクリーム・ソースに熟成バルサミコ酢が絡む深みある逸品です。また季節のラビオリや魚介料理など、オススメを挙げたらキリがありません。特に新鮮な魚介類は火の通し加減が完璧。ソースとのハーモニーもよく考えられ、非の打ちどころがない出来栄えです。料理だけ見ると完全にトップクラスですが、雰囲気はいたってカジュアルでとてもフレンドリーなんですよね。メニュー開発からフロア・マネージメントまで夫婦二人三脚の素敵なレストランです。

 

住所:209 Westbourne Park Rd, London W11 1EA

https://www.caractererestaurant.com

 

3.  Hello Darling  ハロー・ダーリン
 

舞台芸術家の遊び心にゾッコン

Hello Darling 舞台芸術家の遊び心にゾッコン

 

カラフルでエキサイティング! その空間にいるだけで心浮き立つチャーミングなレストランが、歴史ある劇場Old Vicの裏手に2020年に登場したハロー・ダーリンです。最高に魅力的なインテリアの秘密は、2人の女性オーナーさんが舞台美術の専門家であることです。何か仕掛けがあったりするわけでなく、デコレーションそのものに劇場を思わせる感性が取り入れられ、女性らしいコケティッシュな魅力が散りばめられているのです。テーブルウェアも一貫したセンスのヴィンテージ・デザインでまとめられ、レトロ感いっぱい。存在感のあるバーではボタニカル・ベースのカクテルを中心に多種類を用意していますので、観劇の前後を過ごすのにこれほどふさわしい場所はないほど。

Flor ロックダウンを生き抜くシェフの力量

食事にもシアター・コンセプトが行き渡っています。見た目も楽しく遊び心があり、しかも間違いなく美味しい。小皿料理で構成されたメニューは、例えば根菜であるスウェードをさいの目に切り、濃厚な卵黄にマーマイトを合わせたソースと絡めてタルタル状にした絶品をはじめ、現代的なアイデアがキラリと光るものばかり。メニュー開発を手がけたシェフのセンスにただただ脱帽するばかりなのです。お皿も日本人サイズでお値段もリーズナブル。西洋居酒屋風の使い方ができるのも言うことなし。カルチャー施設が集まるサウスバンクからも歩いていける距離なので、料理から雰囲気までまるごと楽しみたい方はぜひ立ち寄ってみてください。

 

住所:131 Waterloo Road, London SE1 8UR(The Old Vicの隣)

https://www.hellodarling.london

 

4.  Flor  フロア

ロックダウンを生き抜くシェフの力量

 Gold ダントツの一皿をコンサーバトリー で

東ロンドンにあるカジュアルなミシュラン一つ星レストラン、Lyle’sのチームがベーカリー・バーに挑戦! ロンドン・ブリッジの一等地に2019年夏にオープンし、グルメたちの話題と舌を虜にしています。パリのオール・ダイニング・バーや、サン・セバスチャンのピンチョス・バーに触発されたというメニューは概してハイスタンダードで人気の理由もよくわかるのですが、中でも超おすすめは1階バーの横に設置された巨大なオーブンで焼かれるベーキング・メニューやデザートなど。共同オーナーの二人が、ロンドンの先駆け的なアルチザン・ベーカリーの出身であることからも、ベーカリー重視の姿勢とそのクオリティには納得なのです。

Flor フロア ロックダウンを生き抜くシェフの力量

昨年はロックダウンになってすぐ、他のレストランに先駆けて独自のピザ・ブランド「ASAP PIZZA」を立ち上げたことでもビジネス・センスを発揮しました。超グルメな食材を使ったピザはあまりの美味しさに熱心な固定ファンが続出。ピザという庶民の食べ物をミシュラン・レベルに引き上げたシェフの力量に惜しみない拍手を送りたくなった出来事であり、最高食材を見極める目と商機を逃さないセンスこそ現代シェフに求められていることなのだと確信させられ成功劇でした。屋内のテーブル席で食事ができるようになるまでは、この特製ピザがロンドナーたちの胃袋を満足させてくれるはず。ピザの他にも天下一品のブラウン・バター・ケーキやアイスクリームが必食です。

住所:1 Bedale Street, London SE1 9AL

https://florlondon.com

 

5. Gold ゴールド

ダントツの一皿をコンサーバトリー で

Flor フロア ロックダウンを生き抜くシェフの力量

緑したたるコンサーバトリーが奥に控えるクールなバー・レストランは、ノッティング・ヒルのポートベロー・ロード沿いという好立地。春夏は特に光あふれる奥スペースの開放感は格別です。ここは空間デザインや雰囲気作りで定評あるSoho Houseをパートナーとして2019年に立ち上がった注目の店。外観もインテリアの様子も洗練された都会のバーのようではあるのですが、料理がかなり本格的で驚きます。その厨房を引っ張っているのは、業界の尊敬を一身に集めるイタリア料理店River Cafeのキッチンにいたヘッドシェフ。どおりでイタリア食材の使い方が上手! 直火を使いこなすカントリー・スタイルの調理法で、びっくりするほど素材の旨味を引き出してくれます。

Gold ゴールド ダントツの一皿をコンサーバトリー で

メニューは季節の野菜料理を中心とした地中海料理です。どのお皿も一定以上のクオリティを誇りますが、私の一押しはチキンの地中海風ロースト。コーンウォール産の赤鶏をマリネし、直火ローストしているのですが、旨味たっぷりスパイシーなイタリア産チョリソ「ンドゥーヤ」とパルマハムが味のアクセントとなり、コクのあるマイルドな赤いパプリカ・ソースが素晴らしい役割を演じています。お肉は信じられないほどジューシーで、炭火の香ばしさもあり、さらにいちばん下にフォカッチャのようなパンのトーストが敷いてあり、全ての味のエッセンスを見事に吸収して最後の一滴まで笑顔で美味しくいただける一皿。ポートベロー・ロード・マーケットでの掘り出し物探しの前後に、ぜひ立ち寄っていただきたいお店です。

 

住所:95-97 Portobello Road, London W11 2QB

https://goldnottinghill.com

 

6. Kudo クードゥー

南ア料理の奥深さを知る旬の一軒

Kudo クードゥー 南ア料理の奥深さを知る旬の一軒

 

南ロンドンのペッカム周辺は、市内で今、最も元気よく進化し続けているエリアです。食もカルチャーも数々のけん引役がいて楽しめるなかで、すっかり拓けてきた Queens Road Peckham駅のすぐそばで2018年初めにオープンしたのが南アフリカ料理をテーマとしたレストランKuduです。カジュアルで居心地よく、かつ洗練された料理の美味しさはすぐ口コミで広がり、あっという間に町の人気者に。シェフはもちろん、南アフリカ出身! ロンドンでも有名なレストラン事業家の家に生まれた奥さんとの二人三脚で切り盛りする、家族経営の素敵なお店です。

Kudo クードゥー 南ア料理の奥深さを知る旬の一軒

ここで必ず食していただきたいのが「Kudu bread」と名付けられた素朴でむっちりとした鍋焼きパン。ベーコン・バターやシュリンプ・バターをたっぷり付けていただきます。このパンは南アフリカ特有の「ポイキ」と呼ばれる鍋に入っているのですが、通常は野菜や肉を炭火でスロークッキングするのに適しているのだそう。タコのレッドペッパー・ソース、スパイス・カリフラワーをトッピングしたタラ料理、オニオンのタタンなどなど、様々な料理に使われています。2人前から注文できる牛オングレットにはポテトのムースと上手にソテーされたエノキやキャベツも添えられ、肉好きなら必ず楽しめる豪華なメニュー。店名の由来でもあるアンテロープのようなつぶらな瞳をしたアフリカ大陸の動物、クードゥーのような瞬発力をいつまでも保っていて欲しいお店です。

 

住所:119 Queen’s Road, London SE15 2EZ

https://www.kuducollective.com/kudu/

 

7.  Brat ブラット

 

カリスマをまとうバスクの炭火焼きグリル

Brat ブラット カリスマをまとうバスクの炭火焼きグリル

 

東ロンドンの “ボンド・ストリート” とでも呼びたくなるスタイリッシュな通り、レッドチャーチ・ストリートの角地という最高のロケーションにある隠れ家風レストランBrat。ロンドンでも大人気のバスク料理をコンセプトに、2軒のタイBBQレストランを大成功させているチームが2018年春にオープンしました。そのタイ料理店の一つが入るビルの2階に構え、英国の若手シェフに贈られるアワードを受賞して以来、新しい厨房に入るごとに話題になってきた天才肌のトモス・パリーさんをヘッドシェフとして、創業当初からシェフ仲間たちの間でぶっちぎりの人気を誇っています。

Brat ブラット カリスマをまとうバスクの炭火焼きグリル

炭火を使ったグリルを備えたオープン・キッチンは調理ショーと同じで、ピンチョス風のおつまみから魚や肉料理まで勇敢にまかない、一つひとつの料理は自慢げに自らを主張し五感を刺激してくれます。メニューはその日の仕入れによって左右されますが、定番品には濃厚な燻製タラコのディップをフィンガーサイズのパンにのせていただくおつまみ、直火で仕上げるバルーン型のグリル・ブレッド、絶品のバスク風チーズケーキなどがあります。そして忘れてならないのが名物タルボット(イシビラメ)の炭火焼き! 巨大な一尾をムラなく美しくグリルするのが、火使いのマスターによる職人技なのです。春夏はストリートにもテーブル席が出ますのでぜひ予約のうえ出かけてみてくださいね。

 

住所:First floor, 4 Redchurch Street, London E1 6JL

https://www.bratrestaurant.com

 

さて、旬のロンドン・ラッキー7、いかがでしたか? お店の情報に営業時間を入れなかったのは 変更が多いからです。気になったらお店のウェブサイトに行ってご確認のうえ、予約を入れてお出かけください!

Author

江國まゆ

あぶそる〜とロンドン編集長。東京で書籍編集・雑誌編集・ライターを経て1998年渡英。英系広告代理店にて10年に渡り各種媒体の日本語コピーライティングを担当した。2009年からフリーランスとなり、日本のメディアに記事を寄稿中。2014年にイギリス情報ウェブマガジン「あぶそる〜とロンドン / Absolute London」を創設。著書に『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房)『ロンドンでしたい100のこと〜大好きな街を暮らすように楽しむ旅』(自由国民社)がある。www.absolute-london.co.uk

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