英国のどの首都にもそれぞれ特色ある城があります。クラウン・ジュエルとワタリガラス、そして千年の歴史が見どころのロンドン塔(The Tower of London)。ロイヤル・マイルの先にそびえるエディンバラ城(Edinburgh Castle )。そして中世の要塞から壮観なビクトリア調に改修されたカーディフ城(Cardiff Castle's) などです。
アイリーン・ドナン城(Eilean Donan Castle) では驚きが待っています。車や徒歩や自転車で何時間もかけてようやく見たはずの風景なのに、絶対に前にも来たことがあると思うはずです。実は湖にぽつりと浮かぶこの城は、映画やテレビ番組に度々登場しているのです。中でも有名なのは『ハイランダー悪魔の戦士』や『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』でしょう。映画さながらのドラマチックな雰囲気と美しい外観を持つアイリーン・ドナン城はスカイ島や北西ハイランドに行く前にぜひ立ち寄っていただきたい城です。
盛んに城建築が行われた時代は中世で幕を閉じましたが、今でも英国の城の現代生活に触れることができます。ナショナル・トラスト とスコットランド・ナショナル・トラスト では、城を含むさまざまな所有地でワーキングホリデーを用意しています。また、英国全土の城でも夏期労働者やボランティアを募集していますので、気に行った場所に直接問い合わせをしてみてください。
ジャラジャラひびくチェーン、血も凍る叫び声、首なし騎士の怖い話がなくては英国の城とは言えません。スコットランド中部のグラームス城(Glamis Castle ) は最も亡霊が出る城を自負していますが、ノーサンバーランドのチリンガム城(Chillingham)も同様の主張をしており、どちらの城でもひんぱんに不気味な目撃情報があがっています。ですが、冬や嵐の夜に訪れてみれば、どの城の天守、塔、地下牢でも不幸な霊の気配を感じるでしょう。
お城に泊まってみたいですか?お任せください。英国全土の歴史ある邸宅では有料の宿泊サービスを行っています。グロスターシャーの 豪華なソーンベリー城(Thornbury Castle) や、アン・ブーリン(Anne Boleyn)が幼少期を過ごしたケントのヒーバー城(Hever Castle) などはいかがでしょうか。他とまったく違うところが良ければランドマーク・トラスト(Landmark Trust)がお薦めです。お城だけでなく、建築的にも歴史的にも重要な塔、パビリオン、コテージでも週末、または長期間滞在することができます。スコットランドには250年前に建てられたパイナップル型のお屋敷もあります。
知られざるウェールズ情報
ウェールズの住民一人当たりの城の数は世界一です。英国のお城ファンなら、海岸と丘にドラマチックな要塞が密集している北ウェールズには絶対に見ておくべきです。コンウィ城(Conwy)、ハーレフ城(Harlech)、ビューマリス城(Beaumaris)が最も有名ですが、お城通であれば、デンビ―城(Denbigh)、エウロイ城(Ewloe)、クリクキエス城(Criccieth)を勧めるところです。違う景色を楽しみたければ、スノードニア国立公園(Snowdonia National Park)に立ち寄ったり、ランディドノービーチやリルビーチで一日過ごしたりするのもよいでしょう。ウェールズのお城の概要は、「Visit Wales」のホームページの「castles」をご覧ください 。
今でも英国中のお城でにぎやかな剣の打ち合い、騎士の一騎打ち、鷹の鋭い鳴き声が響いておりお子様に大好評です。お子様が騎士道精神を学ぶのにぴったりなのは、宿を備えたナイツ・ビレッジ(Knight’s Village) や中世の野営場のあるワーウィック城(Warwick Castle) と、トレジャー・トレイル(Treasures Trail)があり、実際の甲冑が見られるリーズのロイヤル・アーマリーズ(Royal Armouries) の2か所です。
ノーサンバーランドには境界をなすスコットランドとの何世紀にも渡る緊張が見て取れる堂々たる要塞がいくつもあり、お城ファンにとっては天国です。へんぴな場所に建つダンスタンバラ城(Dunstanburgh Castle's )は英国の城には珍しく、訪問者を歓迎する気配が薄いのですが、徒歩でしか行けないこの城は間違いなく英国でも最も雰囲気のある城の一つです。温かい上着とブーツを用意してバンバー(Bamburgh)の漁村から海岸沿いに1日ハイキングをしてみてもよいでしょう。バンバーにも美しい英国城があります。
石を優雅に積み上げたものがすべて城と見なされるわけではありません。英国で最もドラマチックな史跡の多くは、修道院解散の際にヘンリー8世の兵士に一掃された修道院です。ヨークシャー北部のファウンテンズ修道院(Fountains)とリーヴォール修道院(Rievaulx) 、ウェールズのティンターン修道院(Tintern Abbey)は英国の歴史に触れる旅には欠かせません。後に城となる英国の大邸宅からは、中世から現代までの歴史上の空白を埋めることができます。中でも見応えのあるのがオックスフォードシャーのブレナム宮殿(Blenheim Palace) と、ダービーシャーのチャッツワースin Oxfordshire and Chatsworth の2つです。