イギリスの教会の秘話を発見する
スコットランド
フィル・リンジー
イギリスには歴史的な教会、修道院、聖堂がいたるところにあり、1000年以上の歴史を持つものも多くあります。その中には、超自然体の騎士が人間を試す話や、いたずら好きの小悪魔が悪さをする話など、興味深い様々な神話や伝説に彩られたものもありますが、それも当然のことかもしれません。私たちのおすすめをいくつか紹介しましょう。
グラストンベリー修道院は伝説の島、アヴァロンと同じ場所に位置し、アーサー王はここに永眠していると語る人がいたり、アリマタヤのヨセフは聖地から聖杯を持ってここにたどり着き、イギリスで初めての教会を建設したと信じる人もいます。12世紀には修道士たちが、ここでアーサー王とギネヴィア王妃の遺骨が発掘されたと断言しました。
現在、この修道院は廃墟となり、残された天をつくようなゴシック様式のアーチだけが、グラストンベリー中心部の美しい緑地でロマンを物語っています。ガイドツアーに参加すると、修道院の長い歴史と多くの伝説を聞くことができます。ここのツアーは普通とは違って、修道士やアーサー王に扮して中世のコスチュームを身につけたガイドが案内してくれます。
ラッズ・チャーチは、いわゆる普通の教会ではなく、ドラマチックなスタッフォードシャー・ムーアランドにある急峻な狭い渓谷です。ここは古代イギリス人の聖地だったと言われています。また、ガウェイン卿と緑の騎士の伝説を連想させる場所としても有名です。この中世の詩に出てくる伝説では、、緑色の肌の騎兵(この騎兵は、時々、首がなくなる)が、アーサー王の騎士の勇気を試そうと、命がけの挑戦を投げかけます。
ラッズ・チャーチは、ブラックフォレストと呼ばれるピークディストリクトの奥地にあり、確かに幽霊の出そうな場所です。ただ単に、夏至にしか谷底に日差しが届かないというのが、その理由ではなさそうです。それでも、独特の雰囲気が満ちている森林とピークディストリクト国立公園の絶景に抱かれたこの場所は、この地域で最も人気のあるウォーキングスポットとなっています。
ダ・ヴィンチ・コードで有名になった15世紀のロスリン礼拝堂は、長い間、謎に包まれてきました。中に入ると、壁と天井にびっしりと刻まれた精巧な彫刻が目に飛び込んできます。その中に奇妙な記号が並んでいることから、ある人々は秘密のメッセージを伝える暗号だと考えています。
ロスリンをめぐって数々の伝説が生まれました。かつて、十字軍の一大勢力だったテンプル騎士団がここに宝を隠したと言う人もいれば、伝説の聖杯は最終的にここに眠っていると言う人もいます。
何を信じるかは別にして、石の「グリーンマン」、幾何学模様の立方体、有名なアプレンティス・ピラー(徒弟の柱)は実にすばらしく、一見に値します。隠された意味を説き明かすのは、もしかしたら、あなたかもしれませんね。
14世紀初頭には世界で最も高い建築物だった、壮麗なゴシック様式のリンカン大聖堂。その祭壇の上には、小さな石のゴブリンがあります。物語によると、悪魔はリンカン大聖堂をめちゃくちゃにしようと企み、二人のインプ(小悪魔)を送り込みました。大聖堂に到着したインプたちは、椅子を倒し、テーブルをひっくり返し、司教を転ばせ...ありとあらゆる悪さをしました。
すると、すぐさま天使がインプを追い払うためにやって来ました。一人のゴブリンは怖くて逃げ出しました。もう一人はそれより勇敢で、祭壇の上へ高くよじ登り、天使に岩を投げつけました。すると天使はこれに対抗して、インプを石に変えたということです。今日でもこのインプは、同じ場所で石になったまま残っています。
物語を信じるかどうかはともかく、リンカン大聖堂は、イギリスで最も優れた中世建築物のひとつです。複雑でおもしろい彫刻がふんだんに施されていますし、音楽好きの方なら、唱詠晩祷の雰囲気を楽しまれることでしょう。
カンタベリー大聖堂にまつわる最も有名な物語は、神話ではなく、おぞましい事実です。1170年、ヘンリーII世の激怒の言葉から事件は発生しました。1組の騎士団が殺害され、続いてカンタベリー大司教のトマス・ベケットが信徒たちの前で殺害されたのです。
事件は、中世ヨーロッパ中に衝撃を与えました。ヘンリーII世は懺悔のために、修道士 の一団から鞭を打たれながら、カンタベリーの町を裸足で歩いたそうです。
現在では、イギリスで最も古い歴史と知名度を誇る大聖堂を鑑賞するとともに、事件の現場を見て、数世紀に渡り巡礼地となっている聖トマスの墓を訪れることができます。ただし、この聖堂は多くの亡霊に取り憑かれているという噂があります。その中には、1381年に殺害された別の大司教の魂や、召使いネル・クックの幽霊もいるとか。ご注意ください。